「前向きにあきらめる」という発想を! ~谷原誠さ『超多忙な弁護士が教える時間を増やす思考法』より~

執着心を捨てよう! 失ったものは将来の自分に必要じゃないかも!?
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どうしていつも忙しいのか??

若い頃からずっと時間に追われていました。精神的な焦りと物理的な多忙さの両方の意味で、「いつも忙しい」「時間がない」と感じていました。

真面目な性格も災いしているのでしょうが、特に母の介護と仕事を両立させる必要が生じた40代後半からは、以前にもまして「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と用事の多さにきりきり舞いしていました。

やることが多いとどうしても集中力に欠け、焦燥感が強くなってしまいます。そんな綱渡りの日々だと、突発的なトラブルが生じたとたん、イライラが爆発してしまいかねません。つい母に当たってしまうこともありました。

今思えば、ひとりでなにもかも完璧にこなそうと無理をしていたんですね。母の介護も仕事も、家事も、借家の管理も私が全部ちゃんとやらなきゃ、とがんばりすぎていました。誰かを頼ったり、助けてと訴えたりするのが苦手だし、他人に迷惑をかけてはいけない、と思いこんでいました。

どうしたらいいのだろうと悩みました。でも、いくら時間管理術に関するノウハウ本を読んで作業の効率化をはかってみても、問題は解決しませんでした。それはそうですよね。そもそもやることが多すぎるんですから。

「やりたいことをあきらめて、捨てる覚悟を持つ」

そんなときに出会ったのが、弁護士の谷原誠さんの『超多忙な弁護士が教える時間を増やす思考法』です。

本書では各章の冒頭に実話や寓話が挿入され、著者が主張するポイントがわかりやすく説明されています。著者は「いつも忙しい」「時間がない」という悩みに対して序文からばっさりと切り捨てます。

いきなり結論ですが、「自分の時間をある分野に投下する」ということは、「ほかの分野を捨てる」ということを意味します。つまり、時間管理という概念は、「自分の人生で何に重きを置き、そのほかのことをいかにあきらめていくか」という生き方の問題でもあります。

(中略)

最大のポイントは、「やりたいことをあきらめて、捨てる覚悟を持つ」ということです。

谷原誠『超多忙な弁護士が教える時間を増やす思考法』(フォレスト出版)「はじめに ――1年間に1400時間以上の自由な時間を作り出している私の方法」より

最近でこそミニマリズムに興味を持っている私ですが、やはり高度経済成長の昭和の時代に育ちましたから、なんでも「足し算」で多ければ多いほどいい、という思考が染みついていました。「引き算」で減らしていくという習慣がなかったんです。なるほど、ふだんあまり意識していませんが時間は有限ですから、そこにあれこれ詰めこんでもパンク寸前になるだけですよね。

黄色い背景にコーヒーやドーナツのイラスト

「疲れる前に」休憩する

同書からほかにもいくつか、私自身が参考になったポイントをご紹介します。

「投資」という観点で時間を考える。

人生の優先順位を決める。自分が大切にしている価値観を知る。

断る勇気。最も大切な価値観を優先し、それに応じて他人からの誘いや要望を断るかどうか決める。

「計画錯誤は避けられない」を大前提にして、期限に余裕を持たせる。優先順位を設定し、できなかったものは捨て去る勇気を持つ。空白の時間を設定する。

意志というエネルギーは有限。最も大切なことにウィルパワーを集中して使う。

自分がコントロールできることに集中する。「悩む」と「考える」はまったくの別物。自分ができることに集中して、解決法を考える。

休憩の極意。コツは「疲れる前に」休憩する。人間は疲れ切ってしまうと、回復するのに長時間を要する。疲れてはいけない。

以上、谷原誠『超多忙な弁護士が教える時間を増やす思考法』(フォレスト出版)より一部抜粋。

私自身、目からウロコだったのが、最後に挙げた「疲れる前に休憩する」です。「きちんと休むことで集中力は持続する」「『疲れる前に休憩する』という感覚を身につけ、自分に最も合ったサイクルを見つけることが重要」と著者は述べています。本書の提案どおり、例えば30分集中したら5分休憩、休憩中は軽いスクワットやストレッチをする、というサイクルを繰り返したところ、確かに疲労感が激減しました! 日中、集中力が途切れることなく、効率よく仕事をこなせたんです。

あきらめる覚悟を!

著者は「『前向きにあきらめる』ことで有意義な人生を手に入れる」ことを提唱しています。優先順位が高いものに集中し、ほかのことは犠牲にして、あきらめる、そのほうが幸福度の高い人生を送れるのだと。

「あきらめる覚悟」はなかなか難しいですね。人間にとって大切なものはひとつだけではありませんから、そこに優先順位をつけて絞っていき、ほかのものはすっぱりあきらめるなんて、本当につらいし、寂しい。それでも心を鬼にしてやらねばならないのですね。私自身、欲張りすぎて、自分の時間がなくなり、ストレスが生じていたと自覚しているのですから。

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