こんにちは。映画を鑑賞していると、その時々の自分の心に響くセリフや言葉があります。
いいセリフだな、すてきな表現だな、と感じる日本語に出会います。そして、そう感じると、もとの英語ではどう表現しているのか、気になって調べます。
そんな名セリフや表現を原文とともにご紹介して、翻訳のことなどもあわせて少しお話しできたらと思います。
第2回は名セリフ満載の『フォレスト・ガンプ/一期一会』よりご紹介します!
第1回はこちらからどうぞ。
映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』FORREST GUMP(1994)
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのロバート・ゼメキス監督作品。
第67回 アカデミー賞(1995年)では主演のトム・ハンクスが2年連続主演男優賞をとったほか、作品・監督・脚本といった主要部門を総なめに。
作品の概要についてはallcinemaから引用します。
知能指数は人より劣るが、足の速さとその誠実さは天下一品という一風変わった主人公フォレスト・ガンプの半生を、時代を象徴する“事件”とヒット・ナンバーで綴った心暖まるヒューマン・ファンタジー。映像化は困難と思われていた原作を映画的に奔放に脚色したシナリオも素晴らしいが、やはりこれは、多くのSFX映画の中できっちりとロマンを描き続けて来たR・ゼメキスの手腕と、まるでガンプそのもののようなT・ハンクスの存在があって初めて実現し得た作品であろう。
allcinema『フォレスト・ガンプ/一期一会』解説より
ちょっと奇想天外でファンタジックなストーリーですよね。私はダン中尉のキャラクターが好きでした。両脚を失い荒れていた中尉がやがて主人公に「命を救ってくれてありがとう」と礼を言い、「神と和解した」シーンが最高にすばらしいと感じました。
死は生の一部。怖がらなくていい。
示唆に富む助言でフォレストを導き、つねに息子を温かく見守ってきたママ。世の中をうまく渡っていく処世術を身につけた、強くたくましく、頼りがいのある女性。彼女も印象的なキャラクターですね。
ご紹介するのは、病に倒れ死の床にあるママとの別れのシーン。
死を怖がらないで
生の一部なんだから
誰も逃げられない運命(さだめ)なの
映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』字幕版より引用
Don’t you be afraid, sweetheart.
Death is just a part of life.
It’s something we’re all destined to do.
The Internet Movie Script Database (IMSDb)より
Death is just a part of life. 死は生の一部にすぎない
・a part of = ~の一部、~の一部分 たとえば”as a part of”なら、「~の一環として」など。
・be destined to~ = ~になる運命にある、~になるよう運命づけられた
*名詞 destiny(運命)、形容詞 destined(運命づけられた)
日常生活にどっぷり浸っていると、つい死を忘れてしまいます。そして死は恐ろしいもの、なるべく遠ざけたいものと感じてしまいます。
でも「生の一部」で身近なもの、当たり前のものとしてつねに意識していられたら、きちんと死に向かいあい、死を受け入れられるのかもしれません。そして、人生をより豊かで有意義なものにできるのかも。
自分の運命は自分で決めるの
神様の贈り物を生かして
映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』字幕版より引用
Well, I happened to believe you make your own destiny.
You have to do the best with what God gave you.
The Internet Movie Script Database (IMSDb)より
You have to do the best with what God gave you. 神様が与えてくれたものと共に、精いっぱい自分の人生を生きる。
・make one’s own destiny
= create one’s own destiny 自分で自分の道を開く、自分の人生を切り開く
・do the best = 最善のことをする、できる限りのことをする
なかなか難しいことですが、できるだけこの言葉どおりに生きたいものですね。
原文の”what God gave you”(神様が与えてくれたもの)を字幕では「神様の贈り物」とズバリ簡潔で印象的なフレーズに変換しているのはさすがです。
僕の運命って?
それは自分で見つけるのよ
人生はチョコレートの箱
食べるまで中身は分からない
映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』字幕版より引用
What’s my destiny, Momma?
You’re gonna have to figure that out for yourself.
Life is a box of chocolates, Forrest.
You never know what you’re gonna get.
The Internet Movie Script Database (IMSDb)より
「人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみないと分からない/何が起こるか分からない」
とても有名なセリフで、誰でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? 人生ってつらいことも多いですが、チョコレートの箱になぞらえてワクワクドキドキしたほうがきっと幸せでしょうね。
もし今日が人生最後の日なら、今やろうとしていることは 本当に自分のやりたいことか?
さいごに「限りある人生」について名言をもうひとつ。
故スティーブ・ジョブズが2005年に米スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチより。
もし今日が最後の日だとしても、今からやろうとしていたことをするだろうか
日本経済新聞 ジョブズ氏スピーチ全訳 米スタンフォード大卒業式(2005年6月)にて
If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?
日本経済新聞 ジョブズ氏スピーチ全訳 米スタンフォード大卒業式(2005年6月)にて
この言葉はけっこう胸にこたえましたね。「今日が最後の日ならこんなことしていない!」って日が多いかも……。
小心者の凡人にはそう簡単に人生を変えられるわけもなく、思いどおりに生きられないジレンマがあります。それでもこの言葉を胸に刻んでおき、迷ったとき、選択肢のあるときには、決断の指針にしたいものです。
人生を少し豊かにしてくれる含蓄のあるセリフを楽しんでいただき、あわせて英語や翻訳の学習のヒントにもなったなら、うれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
どうぞよい一日をお過ごしくださいね。
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