こんにちは。みなさん、日々あれこれ迷っていませんか? ささいなことから人生に関わる重大事まで、生きていると悩みは尽きません。
でも、どうするか迷ったとき、なんとなく決断したり選択したりしていませんか? あるいは誰かの意見をうのみにしていいかげんに決めてしまっていませんか?
私自身、迷ったり悩んだりしやすい優柔不断な性格でして(笑)、60歳になった現在でもまだうじうじくよくよしがちです……。
そんな私がようやく学んだこと。それは、結局、「思考停止におちいらず、自分で考えることが大事」で、それにつきるということ。
すぱっと竹を割ったようなはっきりとした性格の方には「なにそれ、当たり前じゃないの!」と思われるかもしれませんが……。
まずはアップル創業者スティーブ・ジョブズの名言をどうぞ。
他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。
Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become.
スティーブ・ジョブズ 米スタンフォード大卒業式(2005年6月)にて 日本経済新聞より抜粋
たしかに自分の心や直感はすでに「答え」を知っているのかもしれませんね。あれこれ理由をつけて尻込みするより、心や直感に従ったほうがうまくいくことも多いような気も……。
先生の言うことはなんでも信じたほうがいい?
今回のお話のきっかけは、かかりつけの歯科医院での出来事でした。若い頃に神経を抜いた奥歯が腫れて痛みだしたんです。歯茎から膿も出たり。
かぶせ物をとって治療してもらったのですが、1週間後、まだ痛みも膿も改善しなかったせいなのか、歯科医師から「抜歯したほうがいい」と告げられました。
あまりに急な話で(少なくとも私にはそう感じられました)、私自身もう少し治療を続けてもらえないのか、他に選択肢はないのかと食い下がってみたのですが、先生からはよい返事をもらえずじまい。
そうなるといまの時代やはりグーグル検索ってことになりますよね。抜歯以外に選択肢はないのか、調べてみました。
自分としてはなんとなく納得がいかない、すっきりしない ➡ 専門家がそう言うのだから「もういいや」で済ませずに、自分で調べて他の選択肢を探ることにした
その結果、私のケースは保険診療では基本的に抜歯、でも自由診療であれば治療の選択肢がまだあるとのことでした。
結局、私は抜歯を避けたかったのと、かかりつけの歯科医の説明不足から不信感を抱いてしまったため、他の歯科医院に移って治療を続ける決断をしました。
自分にとって「正しい判断」「最善の決断」を!
とにかく「抜歯は避けたい」ということで、私の場合、今回の決断に至るほかなかったのですが、しばらくしてから冷静に考えてみました。
「正しい判断」「最善の決断」とはなんだろう、と。
かかりつけ医の判断も間違いではありません。保険診療内では限界があるのでしょう。もちろん、その旨、先生から説明してもらえたら納得がいったはず、医院側の説明不足じゃないかなという気持ちはありますが……。
抜歯すれば、痛みなどの点ではあっという間に問題は解決するでしょう。当座の費用もたいしてかからない。
しかし、抜歯せずに自由診療を選ぶなら、さらに何カ月も治療を続け、高額な費用を負担することに。
私にとっての「正解」は、他の患者や歯科医師にとっての正解ではないかもしれませんね。
正しい判断は難しい。少なくとも「自分にとっての正解」を探したい。
最終的に決めるのは自分自身
なにより、今回の場合はまず歯科医師の提案をすんなり受け入れるか、それとも疑問を抱くかどうか。
疑問があれば、必要な情報に自分からアクセスできるかどうか。そして、お金や時間を割ける余裕があるかどうか。
それは、人それぞれでしょう。どうするか、どうしたいか、人によって大きな違いがあるはず。
情報格差やお金や時間の余裕の有無。
かかりつけ医への信頼が厚く、そのうえ情報にアクセスできなければ、あっさり抜歯に至るケースもあるのでしょう。怖いような、それはそれで楽なような……。
歯科医師だけではありません。同じ分野のプロであっても考え方がそれぞれ大きく異なる場合もあります。大昔は医師や弁護士、司法書士など士業の専門家は、ある事案に対して、みな基本的に意見はほぼ一致するはずと思いこんでいました。
ところが、以前、所有する借家の登記についてやや厄介な問題があり、何人もの司法書士や土地家屋調査士に相談したことがありました。驚いたことに、たとえば3人いれば3人とも主張が異なっていたのです。
もちろん、単純なケースであればほとんどのプロから同じ回答が得られるとは思いますが、ちょっと珍しい特殊な場合は、プロであっても提案がずいぶん異なるのですね。専門家によっては、はなから解決が難しいと判断する人もいましたから。
専門家でも意見は食い違うかもしれない。真面目な人はつい他人の意見に左右されてしまいがち。
でも、最終的に決めるのは自分自身。いろいろな意見を勘案して、自分なりにベストな答えを見つけたい。
思考停止をやめよう!
要は、何事も自分の価値判断に基づいて自分で考え、自分で決断することが大事なのでしょう。
自分がどうしたいのか、どう感じているのか。納得しているのか。
私は自分が納得しないと決められない頑固者タイプなので、とにかく思考停止におちいらず、自分なりに考え、情報収集したうえで判断したいと考えています。
自分で悩み、考え、選択肢を吟味したうえで決断するのは、たしかに面倒だし大変ですよね。誰かに丸投げできるものなら、ずいぶん楽です。
さらに言えば、選択肢がたくさんありすぎると人間にとってストレスになり、選択そのものをあきらめてしまう傾向があるそうです。選択肢があるのも善し悪しなのですね。
選択肢が多すぎると選べない、迷ってしまう、だから少ないほうがいい、という意見もあるでしょう。でも、できれば選択肢があるのは幸せだと考えて、しっかり自分の頭で考えて判断したいと思うのです。
そしていったん決断したら、もうあれこれ迷わないことがきっと大切。
思考停止におちいらずに、自分で情報を収集して検討したい。そしていったん決断したら、自分を信じてもう迷わないようにする。
おまけ ~梨木香歩著『西の魔女が死んだ』より名言~
最後に今回のテーマ「自分で決める」にまつわる小説をご紹介します。映画化もされたのでご存知の方も多いでしょう。梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』より。
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。
梨木香歩『西の魔女が死んだ』(新潮文庫)裏表紙あらすじより
西の魔女であるおばあちゃんは、まいをこう諭します。
本当に、大丈夫。悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。その力が強くなれば、悪魔もそう簡単にはとりつきませんよ。
梨木香歩『西の魔女が死んだ』(新潮文庫)
さらに「地道な努力」の大切さも教えてくれます。
「生まれつき意志の力が弱くても、少しずつ強くなれますよ。少しずつ、長い時間をかけて、だんだんに強くしていけばね。生まれつき、体力のあまりない人でも、そうやって体力をつけていくようにね」と。
いまは意志の力が弱くても、みなさま、一緒に地道な努力を続けましょう!
自分で考えて、自分で決めたら、きっと納得がいくし、後悔も少ないはずだよね!
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