人づきあいで悩んでいませんか? 職場や地域、親戚、友人関係などで、人づきあいが苦手、疲れる、面倒、やめたい、と感じていませんか?
私は60歳になった現在も悩んでいます(笑)。人間関係は難しいですよね。一人でいると寂しいときもあるけれど、誰かと一緒だと窮屈だったり気をつかいすぎたり……。
そんな中で出会った1冊の本が、人間関係が楽になるコツを教えてくれました。
89歳の現役精神科医、中村恒子著『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』から、私が感銘を受けた言葉を抜粋します。
「人を変える」ではなく「自分がどうすれば少しでも快適になるか」
06 人を変えることにエネルギーを使わない。「自分がどうしたら快適に過ごせるか」にエネルギーを使う。
とにかく他人さんの性格や行動を変えるのは至難の業やから、自分がどうすればええか、どう動けば少しでも快適になるやろか、という発想が大事やということです。
そっちのほうが、自分への負担を考えたらよっぽど効率的なんですわ。
(中略)
合わない人やイヤな人には意識をできるだけ向けないで、楽しい人やウマの合う人に意識と時間をできるだけ向けていると、どんな場所でもそれなりに長く居続けられるようになるものです。
中村恒子 /奥田弘美『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)
私は気持ちを切り替えるのが下手だし、つい思い詰めてしまうタイプなので、この言葉が身に染みてよくわかります。イヤな人やイヤなことをずっと考えてしまいがちなんですよね。
離婚に至ったのはそういう性格のせいでもあります(笑)。相手を変えるなんて土台無理。相手のことで悩んだりせず、自分にできることをするしかありません。
とにかくエネルギーも時間も意識も自分のほうに向けることが大事です。
どこまで行っても人は一人。人間関係は「水物」と心得よ
07 情は、執着の証。たとえ家族でも、自分は自分、他人は他人。我を押しつけると、相手も自分もつらくなる。
人間関係で悩む人は本当に多いですけど、忘れてはいけません。
どこまで行ったって、人は一人なんです。
(中略)
仲がいい人が常に自分を助けてくれるとは思わんことです。いい距離感とあきらめが必要ですわ。
そもそも、人間関係は「水物」。
ほんのちょっとしたことでひっついたり離れたりするもんです。
中村恒子 /奥田弘美『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)
この言葉もぐさりと胸に突き刺さりました(笑)。つい友人に期待してしまいますよね。それに、友達とのよい関係がずっと続くと信じこんでしまう。
人間関係は「水物」。そう自戒して人とつきあっていけば、きっと逆によい関係を築けそうです。
「みんな大変やなあ」くらいのいい距離感がいちばん
11 かけねなしに弱みをさらけ出せる話し相手がいるかどうか。それが元気になれるいちばんの秘訣。
私は、人の心に寄り添うっていうのは、相手と同じところまで降りて話を聞いてあげるっていうことやと思うんです。
(中略)
相手と同じところまで降りるといっても、変に同情する必要はありません。
「へぇ~そうなんか」「大変なんやねぇ」と、一生懸命聞くだけでええ。
気持ちを入れすぎると大変やから、「みんな大変やなあ」くらいのいい距離感がいちばんやと思います。
中村恒子 /奥田弘美『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)
私は感情移入しやすいタイプでして(笑)、悲しい話やつらい話、愚痴や悪口を聞いていると胸が詰まりそうになることもあります。相手の話をただひたすら聞いてうなずくだけでもいい、そんなふうになかなか思えなかった。だから、一方的にネガティブな話をされるのが苦手でした。
相手はただ聞いてほしいだけなんですよね。それなのに、そこまで思いが至らなかった……。みんな、ごめんなさい……。
だから、恒子先生の言葉どおり、「みんな大変やなあ」という距離感で、一生懸命話を聞くだけでいい。
遅きに失した感もありますが、これからはそんな風に相手に寄り添えたらと思います。
どんな人とも持ちつ持たれつの関係
12 ケチケチせずに細かいことを引き受けていくと、小さな親切が循環していく。
媚びろというわけではありません。頼まれたら自分のできることは「ええよ~」と気持ちよくやってあげる。できないことは、「ごめんな~」と丁寧に断る。
(中略)
どんな人とも持ちつ持たれつの関係やということを忘れないで、頼まれやすい人になると、人間関係のトラブルはそれだけで減ってくると思います。
中村恒子 /奥田弘美『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)
私はなまじ真面目な性格のせいか、頼まれると「きっちりやらねば」と意気ごんで疲れるし、「きっちりできない、ムリ」と思い、即断りたくなります。でもやっかいな性格で、断ると相手に悪いと思い、うまく断れません。だからストレスがたまる。
もう少し気楽に、「ええよ」「ごめんな」と言いあえる関係になれたらいいですよね。
たしかに世の中は「持ちつ持たれつ」。時と場合によって立場がまるきり入れ替わることもありますから、いつも「お互いさま」という意識を持っていたい。自分を優先しつつ、できることは気持ちよくやってあげる。そんなふうにお互いにうまく距離感を保ちつつ助けあえたら、暮らしやすい世の中になりそうです。
「孤独はよきもの」と受け入れるとラクになる
35 孤独であることは、寂しいことではない。「孤独はよきもの」と受け入れると、ラクになることがいくつもある。
私は恒子先生と話している中で、「孤独」に対するイメージが自分と大きく違うことに気がつきました。
「孤独」が悪いこと、寂しいこと、恥ずかしいこと、みじめなこと、といったネガティブイメージがまったくないのです。
先生は「もともと人は一人で生きていくもの」という大前提で生きているので、一人になっても何も怖くないし不安でもない。それが自然だと感じているようです。
(中略)
先生は基本的に「一人」という心の基盤があるからこそ、人に対して強い望みも期待も持たないし、人が近づいてこようが離れていこうが動じない。腹も立たない。
中村恒子 /奥田弘美『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)
聞き手の奥田弘美先生は、「かたや私も含めて現代に生きる多くの人は、孤独を非常に怖がり、忌み嫌っています。必死で孤独にならないようにと他人と『つながろう』『一緒にいよう』としてしまう」と書いています。
いつから「孤独は寂しい」という考えがすりこまれたのか、私も「一人は寂しい」とずっと思いこんできました。「みじめ」とまでは感じないけれど、仲のよさそうなカップルや家族連れ、にぎやかなグループを見かけると、やはり自分よりもそちらのほうが「楽しそう」「幸せそう」という印象を抱いてしまいます。
私自身、独身でそろそろ高齢者の仲間入りですから、「孤独」に慣れていかねば、一人でも寂しくないように生きていこう、などとあれこれ考える毎日です。
でも恒子先生のように、人間は基本的に「一人」という心の基盤がしっかりとあれば、そもそも「孤独」「寂しい」「みじめ」なんていう感情とは無縁でいられそうです。
続編も好評です!
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