目標を設定したものの達成できない、いつも計画倒れに終わってしまう、なかなか仕事や勉強にとりかかることができない……。そう悩んでいる人は多いのではないでしょうか。私自身、若い頃からずっとそんな悩みを抱えていました。
今回は『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』(ハイディ・グラント・ハルバーソン著、林田レジリ浩文訳、株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)より、私のような怠け者で誘惑に弱い人間にも有効だった、シンプルで実行可能な方法をご紹介します。
シンプルな習慣を身につけることで計画倒れを防ぎ、ぜひとも目標を達成しましょう!
やるべきことを着実にやるには「if-thenプランニング」が有効
本書は、「才能が成功に導いた」のではなく、「ある種の思考や行動によって、自らを成功に導いている」人々に共通する「9つの習慣」をまとめて紹介しています。
この習慣の一つひとつは驚くほどあたりまえのことで実行することはさほど難しくありませんが、同時に「誰もがあたりまえに実行している」わけではない、と著者は述べています。「最も大切なのは、本書で得る知識を、実際の行動に落とし込むこと」だと。
具体的な目標を設定し、やるべき行動を決めたとしましょう。でも、ついずるずるとスマホをいじってしまった、漫画を読んでしまった、ただ漫然とテレビを見てしまった……。ほんと、あるあるですよね。ぼんやりしていて、あっという間に時間が過ぎていたなんてことも。
やるべきことを着実に行うためには、「いつ何をやるか」を予定に入れておくべきだと著者は述べています。そのための切り札となるのが「if-thenプランニング」と呼ばれる方法です。
「どんな行動をするかを事前に具体的に決めておく」ことで、それが実行される確率が高まるということです。
ハイディ・グラント・ハルバーソン著、林田レジリ浩文訳『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
ただ決めるのではなく、事前に「いつ」「何を」やるかを、はっきりと決めておく――これで実行できる確率は2倍から3倍も高くなります。
例えば、「16時になったら、何があっても、今日かけるべき電話はすべてかける」といったように決めるのです。
「(もし)月曜になったら、仕事の前に1時間ジムで汗を流す」というようなシンプルな行動計画を立ててみましょう。
「if-thenプランニング」が有効であるのは、この手法が脳に強く働きかけるからだそうです。脳は「XならY」という文章を記憶しやすく、無意識のうちにそれに従って行動することができるからだと。
私の場合、朝のうちにその日一日の予定を考え、細かな用事も例えば「午後1時になったら~に電話する」など決めてメモしておくようにしました。そうすることで後回しせずにどんどん計画をこなしていけるようになっています。
また、「いつ」のみならず、「どんなときに」行動に移すのかも決めるようになりました。例えば「お風呂に入るときには、ポッドキャストで英語学習番組を聞く」など他の習慣や行動とセットにして勉強時間などを確保しています。
計画倒れを防ぐには、「if-thenプランニング」によって「いついつになったらやる」と計画しよう
非現実的な楽観主義はダメ。現実的な楽観主義者になろう!
目標を達成するためには、一般的に自分の能力を信じてポジティブに考えることが大切だとされています。
ただ、著者は安易なポジティブ志向や楽観主義については、「見落とされがちな落とし穴」があると言います。
「目標は達成できる」と信じるのは変わらず大切なことです。しかし、「目標は簡単に達成できる」と考えてはいけない――ここに注意すべきなのです。
ハイディ・グラント・ハルバーソン著、林田レジリ浩文訳『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
つまり「“非現実的な楽観主義者”になることなく“現実的な楽観主義者”であれ」ということです。
「現実的な楽観主義者」とは「成功を望み、それに相応しい努力をする人」であり、「目標を達成するには、相応の困難を切り抜けねばならない」と最初から思っている、と著者は述べています。
一方で「非現実的な楽観主義者」は「ポジティブ・シンキングに励めば、自然と成功はやってくる」「自分には都合の悪いこと、ネガティブなことは起こらない」と思っているのだと。
私たちはつい非現実的な楽観主義者になりがちだと思います。だからこそつねに自分を戒め、冷静かつ客観的に状況を見て一生懸命に取り組むことが肝心なのでしょう。
成功できると信じることは大切。でも、同時に成功は簡単には手に入らないと考えて、努力を怠らないこと
目標は、〇「自分の未知の能力を引き出す」ためのもの、✖「すでにある自分の能力を証明する」ためのもの。
私はメンタルが弱いのでちょっと計画どおりにいかなかったり嫌な目にあったりすると「やっぱりダメだ」とあきらめがちだったんです。
でも著者は「今できなくても、できるようになる」と信じることが大切だと説いています。「今の自分ができると思える範囲で目標を立てる」のではなく、目標は「自分の未知の能力を引き出す」ためのものであるべきだと。
目標を設定するときには、「今、何ができるのか」ではなく「これから、何ができるようになりたいか」を考えるようにしてください。
ハイディ・グラント・ハルバーソン著、林田レジリ浩文訳『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
目標は、自分の能力を証明するためにあるのではなく、自分を向上させるためにこそある、と考えるようにしてください。
新しいことに挑戦するには不安がつきものですが、「失敗してもいい、と開きなおる」ことが大事だと著者は言います。
目標に向かって、そこで出会う困難を「学び」という視点でとらえたら、もし失敗したとしても「また、ひとつ学んだ」と思える。そうすれば、がっかりすることなくモチベーションを維持できるのだと。
最初から完璧を目指さない。今できなくても、できるようになると信じる。失敗を恐れず、少しずつ学び、進歩していけばよい
今の自分にはまだできなくても、努力を続けていけばきっとできるようになる。そう信じてがんばりたいものです。そして、思ったような結果が得られなくても、成長できたと実感できればよいはず。
意志力には限界がある。有効に使おう
私はメンタルが弱く体力もないくせに、真面目すぎるせいか、仕事など何かに取り組むとつい限界を越えるまでがんばってしまいます。そしてついにバタンキュー。しばらくは使い物にならないという羽目に。根拠もなく「やれるはず」と思いこんでいるんでしょうね。
その点について、著者は「どれほど意志力が強いとしても、限界はある――この事実を受け止めましょう」と述べています。
例えば、禁煙とダイエットといった2つの困難な目標に、同時に取り組むのは避けるべきです。
ハイディ・グラント・ハルバーソン著、林田レジリ浩文訳『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
また、どんな目標であっても、できるだけ簡単な方法を見つけるように努めてください。わざわざ難しい方法を選んで、自分の能力を試す必要はありません。
多くの人は、自分の意志力を過大評価しており、普段から多くの誘惑に囲まれた生活をして、むだに意志力を消耗してしまうのだそうです。確かにそのとおりですね……。
成功できる人は、できるだけ目標を達成しやすい環境を整える努力をするものだと。
- 意志力を鍛えることは大事だが、意志力には限りがあるという事実を受け入れる
- 自分の意志力を試そうと、無理をしたり、自分を追い込んだりしてはいけない
- 誘惑をできるだけ近づけない。意志力で誘惑に打ち勝とうとしない
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
自分をとことん追い込んだりせずに、本書を参考にしてなるべく習慣化することで楽に目標を達成できますように
コメント