つらいとき苦しいときは、ひとりで抱えこまず周囲に助けを求めよう!

つらいとき苦しいときは、周囲に助けを求めよう!

みなさん、こんにちは。

10年以上前、私は50代を目前に控えた頃に自宅で母の介護を始めました。いまや自分自身も60代に入り、近頃つくづく実感していることがあります。それは、みずから進んで助けを求めること、人の助けを借りることの大切さです。

みなさんは、日頃悩んだり困ったりしたとき、自分ひとりで抱えこまず、誰かにちゃんと助けを求めていますか? 

私自身はなかなか人に助けを求められない困った性格でして(笑)、恥ずかしい、迷惑をかけたくない、弱みを見せたくない、なんでも自分でやらなくちゃなど、いろんな感情が渦巻いて、あれこれ悩み逡巡するうちに、やっぱり自分でなんとかしようという結論に達しがちでした。

今回は、そんなふうに人間として未熟だった私が人に頼ることの大切さに気づいた話をしたいと思います。すでにちゃんと助けを求められる人にとっては「なんのこっちゃ?」という話かもしれませんが、私と同じ悩みをお持ちの方にとって少しでもお役に立つことを願っています。

目次

母の介護を通して知った人に頼ることの大切さ

車椅子での外出にまつわること

淡いブルーの背景にきらめく光

若い頃は、親も自分自身も元気でエネルギッシュに活動できました。ですから、誰かに助けを求める必要もあまりなかったのです。

でも、母が脳出血で倒れ、後遺症で片麻痺になってからは生活全般が一変しました。家族のみでの介護には限界があり、介護職の方々を含めてさまざまな人々の助けなしには生活できなくなりました。

そのことをまず痛感したのは、母を車椅子に乗せて出かけるときでした。電車に乗るにはまず駅で駅員さんに行き先を告げて、スロープを用意してもらわねばなりません。スロープなしでもなんとかなる場合もありますが、電車とホームの隙間がけっこう広いときは危険なのです。

また、車椅子での移動に慣れるまではけっこう苦労しました。エレベーターがないともちろん移動できないのですが、駅によってはホームの端のほうにエレベーターが設置されており、駅員さんに尋ねてみないと場所がわからないこともしばしばありました。

さらに乗り換えも難しく、エレベーターを乗り継いだり、いったん駅の外に出ないといけなかったりと普段よりもずいぶん回り道をするはめになることも。母を連れて遠出するときには、事前に自分ひとりで駅に出向いて乗り換えなどのシミュレーションをすることもありました。

以前はなんでも自分で調べて独力でなんとかしようとするタイプだったのですが、母が車椅子に乗るようになってからはいろいろ事前に問い合わせて教えてもらう必要が出てきました。母の身の安全を守るためにも周囲の人たちに関わってもらうべきなのですね。

私は車に乗らないので、母のためにタクシーを利用する機会も増えました。予約も必要になったり、運転手さんには車椅子をトランクに入れてもらったりとお手数をおかけします。とくに親切で配慮の行き届いた運転手さんに遭遇すると涙が出るくらいうれしいです。

もちろん、日々生活するうえではケアマネジャーさんやデイサービスのスタッフ、訪問リハビリの理学療法士の先生、看護師さんなど、多くの専門家の方々にお世話になっています。

見ず知らずの方に助けてもらうこともありました。たとえば、病院からの帰りに道路の段差やほんの数段の階段に困っていたら、同じように車椅子を押している女性がさっと助けの手を差し伸べてくださったことも。

ほんとうにさまざまな方々と関わり、助けていただくようになりました。ありがたい限りです。

有能なプロはみな「頼み上手」

淡いピンク色の背景に金色の光

私はそもそも誰かとざっくばらんに腹を割って付き合えるような人間ではありません。つい遠慮してしまい、ちょっとした頼み事すらできません。「こんなことをお願いしたら相手にとって迷惑だろう」と考えてしまいます。

ところが、母の関係でこれまで出会った有能なプロの方々は、私からすれば「それはちょっと申し訳ない」というようなことも遠慮せずに堂々と相手に切り出していました。たとえば、介護ベッドをレンタルする際にケアマネさんが室内の大きなタンスの移動を福祉用具のレンタル業者さんについでにお願いしてくれたり、旅行中にはツアコンさんがホテルのスタッフにエレベーターのない2階の部屋まで母を背負っていってくれと頼んでくれたり。

そして私からすれば驚いたことに、頼まれた相手の方も嫌な顔ひとつせずに応じてくれるものなのですね。

目からウロコが落ちた思いでした。確かに自分にとって大変なことが相手にとっても大変なことだとは限りません。なんでも頼んでみるものだと痛感しました。もちろん、相手に配慮するべきで、あまりにも無茶なお願いをしてはいけませんが。

自分にとっては大変なことでも、他人にとっては簡単なことかもしれない。本当に困っているのなら、遠慮せずなんでも頼んでみるのもいいかも。断られたら次善の策を考えるといいのだから。

「わかってくれる」は甘えにすぎず、きちんと事情を説明すべき

パステルカラーの背景に白い光

もうひとつ気づいたことがあります。

車椅子で人込みのなかに出るのはなるべく避けるようにしていますが、まれに外出時に想定外のかなりの人出になってしまうと車椅子での移動にはとことん神経をつかうはめになります。「すみません」と後ろから声をかけても道をあけてもらえることはまれで、周囲の人の足にタイヤが接触しないように細心の注意を払いながら少しずつ進むしかありません。

一度、通行人の女性の足を車椅子で踏んでしまい、謝ったにもかかわらず、その女性の娘さんからきつく責められたことがありました。

そのときは混雑のなかで何度も「すみません」と声をかけても周囲の方たちが道をあけてくれず、私もイラついていたのだと思います。そんなに非難しなくてもいいじゃない、こちらも謝罪したのだし、なにしろ車椅子なのだから少しは配慮してよ、と内心毒づいてしまいました。

あとから冷静になって考えてみると、相手の娘さんからすれば自分の母親が足を踏まれたのだから怒るのも当然です。こちらももっときちんと声をかけて、道をあけてもらう努力をするべきでした。車椅子で移動するからといって周囲が当然のように配慮してくれるわけもありません。それを期待するのはこちらの甘えなのだと悟りました。周囲の人間にはこちらの事情はわからないのですから。

それ以後「恐れ入りますが、道をあけてもらえますか。車椅子が通ります」などと後ろから具体的に声をかけるように心がけています。「すみません」だけでは伝わりませんよね。

周囲の配慮を当然のごとく期待するのではなく、こちらが何に困っているのか、はっきりと具体的に伝えて協力を得られるように心がけたい。

困ったときは人に助けてもらえばよいのだとひしひしと感じたとき、頭に浮かんだ2冊の本をご紹介

1.マーガレット・ドラブル著『碾臼』

1冊目はかなり古い文学作品ですが、英国の作家マーガレット・ドラブルの『碾臼』(河出書房新社)。経済的に自立した中産階級の知的女性が予期せぬ妊娠・出産を通して、他者との触れ合いにより成長していく姿を描く物語です。

作中で主人公はほとんど付き合いのなかった階下の夫婦に助けを求めるのですが、すると夫婦は予想外にも親切心を見せてくれます。主人公は「彼らがあんなにやさしい態度を見せたのは、こちらがその厚意にすがったのが第一なのだ」と気づくのです。

正直に窮状を打ち明けたからこそ、相手はやさしい態度を見せてくれたのだと。

2.山崎元、堀江貴文 共著『決定版! お金の増やし方&稼ぎ方』

もう一冊、分野のまったく異なる本になりますが、山崎元、堀江貴文の『決定版! お金の増やし方&稼ぎ方』(徳間書店)

これは単純に、ホリエモンこと堀江貴文さんが「なんでもお金で解決しようとするな。困ったら、まず人に頼れ」と語っていたことに私自身が驚いたからです。私の勝手な想像で申し訳ないのですが、ホリエモンは「独立独歩、唯我独尊の自由人」だろうと誤解していました……失礼しました(汗)!

ホリエモンは「頼られたら、それはそれで嬉しいものなのだ。自分が必要とされているということなのだから」とも語っています。「心を開くことのできる仲間、弱さを見せることのできる仲間。当然、そんな仲間は1人でも多いほうがいい」と。

さいごに

渋いピンク色の背景に白い光

きっとなんの躊躇もなく周囲に助けてと言える人も大勢いると思います。

でも、育った環境や受けた教育、生まれ持った性質などのせいで、なかなか周囲に助けを求められない人、甘えるのが苦手だという人は多いのではないでしょうか? 

私も「人に迷惑をかけてはいけない」という意識が強かったし、とくに祖父や母がなんでもできる器用な人間だったせいか、自分でやることが大事、それこそが自立だと信じるようになりました。

組織に属さないフリーランスの働き方も影響したのかもしれません。それに離婚してひとりで生きることになったという事情もあったのでしょう。

父を早くに亡くしましたし、祖父母もすでにこの世を去り、自分自身が子どもをもうけなかったため、家族も減っていくばかり。頼みにしていた母もいまは介護が必要な身です。

なかなか気軽に頼る相手はいません。でもたぶん「助けて」と正直に伝えたら、身近な人はもちろん、赤の他人であっても、きっと本当に困っている人を見捨てることはないのだと思います。

そして上手に助けてもらうコツは、具体的に相手に何をしてもらいたいのか、どういう形での助けを必要としているのかを伝えることかもしれません。「ちょっと愚痴を聞いてもらえないかな?」でもいいのだと思います。

これからは上手に他人に頼れる人間になりたいものです。そして助け合いの精神で、私自身も誰かの助けになれるときには積極的にそうしたいと考えています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
少しでもお役に立てたなら幸いです。
きょうもよい一日をお過ごしくださいね。

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