仕事のスキルアップのため、将来翻訳や通訳をやってみたい、趣味で、海外旅行のため、といった理由や目標から英語の勉強を始める人が多いと思います。でも一方で、なかなか続かない、しんどい、苦痛、くじけそう、と感じている方も多いのではないでしょうか? がんばれないのは甘えだと自分を責めている人もいるかもしれません。
私自身、英語関係の仕事を長年続けてきましたが、そもそも怠け癖があるせいか独学や自習が苦手で、通訳翻訳スクールや出版翻訳や映像翻訳の通信講座などを活用して、自分を追いこむことでなんとか今までやってきたという次第です……(汗)。
今回は、私自身の過去の経験を踏まえて、初心者がまず継続して勉強を続けられる方法を考えてみたいと思います。お勧めの教材もピックアップしました。
無理すると続かないから、最初のうちは簡単に続けられる仕組みを作っておくといいよ!
がんばりすぎない英語学習のコツ
自分の経験をもとにして、がんばらずに学習を継続し、少しでも勉強を楽しみ、成果を上げるためのコツを考えてみました。
とにかく「ハードルを下げる」ことが大切だと思います。
- 理想や目標を高くしすぎない
- 毎日コツコツ継続する
- 勉強時間をまず一日のスケジュールに組みこみ、習慣化する
- 課題の難易度を下げる
- 課題の量を減らす
- 自分が興味を持てる課題を選ぶ
- 短時間で勉強する
- 100%を目指さない。60~70%くらい理解できたらOKと考える
上記のほかにも、現在の勉強法のどこがしんどいのか、億劫だと感じるのか、分析してみると、改善すべき点が洗いだせると思います。
長期的な目標がなければモチベーションを維持できませんが、あまりに高い目標をいきなり掲げてしまうと挫折しやすいので、初めのうちは小さな目標(とりあえず一週間続ける、一日5分でもやる、など)をクリアしていくと、自信がついてくるはずです。
とにかくハードルを下げて、「とりあえず5分だけ」「とりあえず1ページだけ」といったふうに考えると、取り組みやすいですし、習慣化していけると思います。
なにより自分が「楽しい」と思える教材を選ぶことが大事でしょう。楽しければ、なんであれ継続しやすいものです。「あれ、なんか楽しいかも」と心の中で思うだけで、脳がやる気になるそうですから、自分で「自分をのせる」のもアリですよ。
そして、もしあまり理解できない、成果が感じられないとしても、「自分はダメだ」と思わず、「まあ、今日はこれでいいか」「大体のところはわかったからいいや」「この単語やフレーズだけ覚えたらいいや」と自分を励ましてくださいね。
※ただし、いくらハードルを下げても勉強がつらい、苦痛でならないとしたら、そもそも英語を勉強する目標や必要性から考え直したほうがいいかも。今はまだその時期ではないのかもしれませんし、根本的に性に合わないことをやろうとしている可能性もあります。自分が好きなことや楽しいことは、放っておいてもやりたくなるものです。あまりにストレスになるくらいなら、あきらめたりやめたりしても問題がないかどうか、考えてみるのもいいと思います。くれぐれも無理を重ねないようにしてください。
ラクに勉強を継続するならシャドーイング
もっとも簡単で継続しやすい勉強として、シャドーイングをお勧めします。
私が40年(!)ほど前に通いはじめた通訳翻訳スクールでも、授業で毎回同じ課題をシャドーイング(当時は“フォロー”と呼ばれていましたが)を行っていました。「もう飽きた」というくらい毎回リピートしていると、いつのまにか文章やフレーズを覚えてしまっているんですよね。
シャドーイングのメリットは数多くありますが、その一例を挙げます。
- 簡単にできる
- 短時間でできる
- ネイティブになったつもりで行うので楽しい
- 発音、リズムやイントネーションが自然と身につく
- 語彙力がアップする
- さまざまな分野の話題に触れることができる
勉強が億劫、なかなか続かないという英語学習ビギナーの方々が、とにかくハードルを下げて勉強を継続するためには、毎日短時間のシャドーイングから始めることが一番だと思います。
初心者にお勧めの無料You Tube動画教材
1. VOA Learning English
定番ではありますが、やはりイチ押しは、米政府の海外向け放送 Voice of America (VOA)でしょう。英語学習者向けのサイトVOA Learning Englishを活用している方も多いと思います。
今回はVOA Learning EnglishのYou Tubeサイトから、独学に役立ちそうなプログラムを選んでみました。ほとんどの動画に英語字幕がついているので、初心者にとっても安心です。
英会話ならLet’s Learn English、ニュースの語彙ならNews Words、文法ならEveryday Grammar TV、発音ならHow to Pronounceとそれぞれシリーズがありますので、用途に合わせて教材を選べます。それぞれいくつかビデオを見ましたが、どれも数分程度の短い教材ながら、私自身知らない単語があったり(汗)なかなか勉強になります。
①やさしいニュースならVOA60シリーズ
最終的に通訳や翻訳の仕事も視野に入れるなら、シャドーイング用教材としてお勧めはVOA60です。毎日1分間で米国および世界のニュースを紹介しています。題材はニュースですが、Special Englishというやさしい語彙でゆっくり、はっきりと発音される英語なので、ビギナーにとっても理解しやすいのが特徴です。
動画の下に英語字幕がついているので、目で原稿を見ながらシャドーイングすることもできます。
②ナレーションならAmerica’s National Parksシリーズ
初心者にとってシャドーイングに適した教材は、やはりナレーションでしょう。内容に興味が持てるなら、America’s National Parksをお勧めします。
こちらのシリーズは主に3~5分ほどの動画で、タイトルどおり米国の国立公園を美しい映像とともに紹介しています。こちらも英語字幕つきですから、学習しやすいと思います。
2. BBC Learning English
イギリス英語を学ぶなら、これも定番ですが、イギリスの公共放送BBCがお勧めでしょう。学習者向けにBBC Learning Englishのサイトがあります。
こちらもBBC Learning EnglishのYou Tubeサイトから、独学に役立ちそうなプログラムを選んでみました。英語字幕がついている動画だけをピックアップしています。VOA Special Englishと同じく、英会話、文法、発音、語彙など幅広く学べますが、なかには英語字幕がついていない動画もありますので、ご注意くださいね。
おそらく日本人の私たちが接するのはアメリカ英語のほうが多いと思いますから、イギリス英語の発音やイントネーションに慣れていないとBBCのほうが難しく感じるはずです。さらに上記VOA Special Englishのように平易な英語ではないため、こちらのBBCのプログラムのほうが難易度は高くなるかもしれません。
①主に時事問題の6 Minute English – Vocabulary & listening
この6分間のプログラムは動画ではなく静止画になっており、英語字幕つきで音声が流れます。気候変動、AI、食糧問題からもう少し身近な話題まで、内容は多岐にわたっています。ナレーションではなく2名のニュースキャスターによる対話形式のものが中心で、親しみやすいと思います。興味のある話題を選ぶとよいでしょう。
②ニュース関連の語彙を学ぶならNews Review – Learn the English words and phrases in the news
こちらのシリーズはニュースのヘッドラインから語彙を学ぶ動画になります。やはり2名のキャスターが例を挙げながら語彙を説明してくれます。実際に新聞などで使われている表現なので、覚えておくと今後きっと役に立つはず。ただし、やはり自然な英語ですので、難易度は高めになるかと思います。
シャドーイングによる勉強法の例
シャドーイングについては書籍もたくさん出版されていますし、いろいろ試したうえで自分にとってやりやすい方法を選ぶのが一番でしょう。私からも簡単にお勧めのやり方をご紹介します。
シャドーイングにはイヤホンやヘッドホンを使うほうが集中しやすいと思います。
- 英語字幕のスクリプトを見ながら、まず1回通してざっと課題を聞いてみる
- スクリプトを見ずにシャドーイングしてみる
- スクリプトを見ながらシャドーイングする
- スクリプトを見て、分からない単語を辞書で調べる
- ポイントとなる語彙や表現をしっかり押さえる
- 最後にもう一度スクリプトを見ずにシャドーイングする
あまりこだわりすぎないこと。時間がなければ1回シャドーイングするだけでもOK。もしくは語彙や表現をひとつ覚えるだけでもOK。少しでも毎日続けることが大事。
たとえばナレーションの課題を何度もリピートして慣れてきたら、応用練習にも使ってみてください。
通訳や翻訳の基礎訓練として
- センテンスやフレーズごとに意味の切れ目で動画を停止する
- スクリプトを見て、必要であれば辞書を引き、内容をよく理解する
- 口頭で英語を日本語に訳してみる。あくまで文章を前から訳していくのがコツ
- 日本語にうまく訳せない場合は、英語の理解が不足しているかも。もう一度よく英文を読んで考えてみる
- すらすら口頭で訳せるようになるまで上記を繰り返す
日本語訳例があれば一番よいのですが、独学の場合はなかなか難しいですよね。グーグル翻訳などをうまく利用するのもよいでしょう。
とにかく完璧を目指さない。第一段階として「大体理解できた」でよしとしましょう。練習を積んでいけば理解できる範囲がだんだん広がっていくはず。焦らず一歩一歩前進していきましょう。
コツコツ継続することが一番大切だと思うよ。そうやって続けていると、あるとき急にぐっと伸びる。勉強ってそういうものかも。
それでもやっぱり独学は合わないかも、なかなか結果が出ない、と感じたら、私自身もお世話になったスクールや翻訳者ネットワークをご紹介しておきますね。
翻訳者ネットワークの「アメリア」では、定例トライアルなどスキルアップ制度も充実していますので、学習中の方にもおすすめです。
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