60代から人間関係で悩まず自由に生きるために ~佐々木俊尚『広く弱くつながって生きる』より~

60代から人間関係で悩まず自由に生きるために ~佐々木俊尚『広く弱くつながって生きる』より~

前回、橘玲著『幸福の「資本」論』(ダイヤモンド社)を通して、これまでの自分の生き方を振り返るとともに今後の人間関係についての最適解を探ってみました。

著者は人とのつながりについて以下のように述べていました。

投資理論で考えれば、「強いつながり」は地元や会社に社会資本を一極集中している状態だということです。(中略)それに対して「弱いつながり」は社会資本を分散投資しているので、その分だけリスクに対する耐性は強くなります。

橘玲『幸福の「資本」論』(ダイヤモンド社)

人間関係においては「強いつながり」こそが大切だと私たちは信じてきましたが、その強固な絆ゆえに息苦しさや生きづらさも生じているのでしょう。

それとは対照的に「弱いつながり」へと移行すれば、もっと軽やかに、楽に、自由に生きられるのかもしれません。

今回ご紹介する、佐々木俊尚著『広く弱くつながって生きる』(幻冬舎新書)はまさにそのような生き方を実践している著者からの提言書になります。

私のようにリタイア生活に入ったシニア世代にも役立つヒントが多々ありました。

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目次

広く弱くつながって生きるとは?

黄色の背景に青い花々の画像

問題の根本は、人とのつながり方にあった?

本書執筆時の情報ではありますが、著者は元新聞記者で、現在はフリーで活躍、東日本大震災をきっかけに他拠点生活を開始し、東京・軽井沢・福井の3カ所に家を持っています。

前書きにおいて、著者はこう語りかけます。

技術の進歩によって世界が大きく変化しているにもかかわらず、私たちの日常は相変わらず息苦しいまま。それは人間関係のせいではないだろうか。人間関係は相変わらず昭和の昔を引きずって、面倒なことばかりなのだ、と。

あなた が いま 感じ て いる 問題 の 根本 は 、 仕事 の 内容 や ライフスタイル の よう な 大きな 話 じゃ なく 、 結局 は 人 との つながり 方 に あり ます 。

佐々木俊尚『広く弱くつながって生きる』(幻冬舎新書)

そこで著者が提案し、実践しているのが、

人間関係をちょっと考え直してみることで、生きづらさを私たちの日々から取り除いて、もっと楽に過ごせるようにしよう

というものです。つまり世の中の変化にもかかわらず今も生きづらいのは人とのつながり方に原因があるからであって、人生が苦しいのなら人間関係から変えてみようというのです。

人とのつながり方をどうやって変えていくのか?

とはいえ人間関係を楽にするのはそう簡単にはいかないはず。具体的にどうすればよいのでしょうか?

まず、次のような発想が大切だと著者はいいます。

移動生活により居場所をあちこちに作る

あるいは、

1カ所に住みながらも浅く、広くつきあうことで「弱いつながり」をたくさん築く

たとえば、ボランティアやサークル活動などで交友関係を広げることを著者は勧めています。

さらに著者によれば、

弱いつながりを築くとは、自分で共の空間を作るということと同義

とのことです。「共」の空間とは、政府や自治体の「公」、家族の「私」に対して、そのふたつの間にある空間を指すそうです。

そして、現代はフェイスブックのようなツールがあるので、国=公の制度に頼らなくてもそのような共の空間で生活を作ることが可能だといいます。

共の空間を探すコツとして、

目的がきちんとあった方が楽しいはず

であり、たとえば社会的な課題に取り組むNPOなどが一例だといいます。

目的のある活動はそのプロセスが楽しく、たとえ活動が終わってもそこで培った人間関係やノウハウなどは残る、と。

青色の背景に黄色や白色、ピンク色の花々の画像

弱いつながりを育てつづけるためのヒントとは?

こうした活動を継続するためのヒントとして、

外に出たり、遊びに行くのも仕事、人間関係を広げたり、知らない世界に足を踏み入れる「インプット」という仕事だと思うこと

これは私のようにリタイアした人間にとって有益なアドバイスだと感じました。しょせん「遊び」ととらえてしまうと、達成したい目標や望みがあってもつい先延ばしにしがちだからです。

あまりガチガチに「仕事なのだから~すべき」と考えると楽しくありませんが、怠け癖が出るのを防ぐという意味では「いまはこれが私の仕事」と軽く考えておくといいですよね。

ほかにも著者は以下のようにいくつかアドバイスしています。

  • 自分が備えている知恵のようなものを、求められたら提供する
  • 他者に信頼してほしいなら、ある程度プライバシーを開示した方がいい
  • 若者向けイベントにも笑顔、好奇心、謙虚さをもって参加する

年齢にこだわらずに関係を築くためには、大きなお世話やおせっかいにならないこと、つまるところ、相手にとって必要な人と思われればいいのだ、と。

プライバシーの開示については、私は怖がりなのでついちゅうちょしてしまいます。

しかし、著者がいうには、人間関係を広げる際には、相手が信頼の置ける人物かどうかは、現在ではフェイスブックなどで人となりがある程度可視化されている、逆に言うと、他者の信頼を得るにはこちらもある程度はプライバシーを開示するほうがよい、ということです。

すぐに実践可能かどうかはさておき、このアドバイスを頭の片隅に残しておきたいと思います。

移動とは慣れるもの?

さいごに、私にとって心強いと感じたのは、

移動は意外と慣れる(移動に対する心理的抵抗感が著しく下がる)

軽やかさが大事、とりあえずやってみる(イメージと違ったり、つらかったらやめればいいだけ)

という著者の意見です。

年をとればとるほど、体力や気力の低下ともあいまって、新しいことに挑戦する、遠出する、といったことが億劫になりがちです。若いころと違って失敗を恐れ、恥じる傾向も強くなります。

ですから、著者からのこうしたアドバイスにはずいぶん励まされました。

実際のところ、私自身、住まいのサブスクADDressの会員になり、日本各地の拠点を訪れるようになってみると、移動に対する心理的なハードルはかなり下がりました。邪魔くさがりでなかなか腰を上げないタイプだったのですが、比較的軽い気持ちで遠出できるようになりつつあります。

長時間の移動もあまり苦にならず、外出の準備もずいぶんと楽になってきました。ぜひともそこを訪れたいという欲求が原動力になっているのかもしれませんが。

著者のいうとおり「やはり何事も慣れが大切」ですね。

さいごに

淡い色の背景にパステルカラーの花々の画像

本書の最終章「ゴールなき人生を楽しむ」で、「死ぬまで多拠点で生活したいですか?」という質問に対して、著者はこう答えています。

 しかし、3年ほどやって思うのは、移動し続ける=ゴールを設定しない人生でもいいのかなということです。移動している最中こそが自分の本質のようになってきています。

(中略)

私はある種の理想型に向かってプロセスを楽しんでいることそのものがゴールであり、どこかに到達するのが目的ではないと考えています。

佐々木俊尚『広く弱くつながって生きる』(幻冬舎新書)

橘玲著『幸福の「資本」論』でも、著者が「幸福な人生を目指して頑張っているときが、もっとも『幸福』なのかもしれません」と述べていました。

目標を達成する喜びは当然あるでしょうが、ある意味では、つねにプロセスそのものを楽しむことこそが人生を謳歌するコツなのかもしれません

さて、著者は本書を次のように締めくくっています。

 歳をとるというのはネガティブに捉えられがちですが、さまざまな年代の人たちと広く弱くつながり、困難があっても「きっと誰かが少しだけでも助けてくれる」という安心感を持つことができれば、人生はそんなに悪くない。そういう心持ちで、これからの長い人生を生きていけばいいんじゃないかと思います。

佐々木俊尚『広く弱くつながって生きる』(幻冬舎新書)

「きっと誰かが少しだけでも助けてくれる」という安心感。

還暦を過ぎてもなお人間関係に悩んだり、他人を恐れたり心から信用できなかったりという私にとっては、それは夢のようなものかもしれません。

それでもいつかはそんな人間関係を育んでいけたらと願うばかりです。

でもたぶん難しいだろうな……。すでにあきらめムードですね(笑)。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
なにかのヒントになれば幸いです!

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